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ウィローパターンに描かれた恋物語

先日スポードのウィローシリーズのお皿を買い取りました。よくある絵柄なのですが、それにまつわるおもしろい物語があるのでご紹介します。

ウィローパターンとは

Willow / Spode

これがそのお皿です。白地に青でオリエンタルな図柄が描かれています。中央付近に柳(英語でウィロー)が描かれていることから“ブルーウィロー”と呼ばれたりします。

これスポードのものですが、このパターンはスポードに限ったものではなく、他のメーカーでも使われている伝統的なパターンです。

柳の他に、二羽の鳥、小舟、館、橋をわたる人々などが見えますね。メーカーによって微妙に図柄が異なることもありますが、概ねこれらの要素は欠かすことなく描かれています。

なぜなら、それらの要素には意味があるからなのです。このウィローパターンには、中国の古い恋物語が描かれているのです。

ウィローパターンに描かれた古い中国の恋物語

昔々あるところに、美しい娘を持つ官吏がいました。

官吏は、自分の娘を権力者に嫁がせようと企み、娘を塔に幽閉しました。娘の身の回りの世話は侍女たちが行い、他所者は誰も娘には近づけません。(図柄の中央右に大きな館があります。その隣に描かれているのが娘が幽閉された塔です。下部には柵が描かれています)

ある日、官吏の部下の青年が娘に恋をしました。しかし部下といえど、塔へ近づくことができません。そこで、青年は娘にあてた手紙を貝殻にのせて川に流しました。娘もまたそれに返信し、青年と娘は愛を深めていきました。

とうとう娘の結婚式の日になりました。その日は盛大な宴が開催されました。

結婚式の参列者たちがおおいに酔っぱらったころ、青年は館に忍び込み、娘の部屋に辿り着きました。二人は抱き合い、このまま一緒に逃げることを決意します。

しかし、逃げる途中で見つかってしまいます。橋を渡って逃げた二人を官吏が追ってきます。(図柄の左下に橋を渡る3人の姿があります。逃げる二人とそれを追う官吏の姿です)

なんとか逃げ延びた二人は、小舟で遠くにある島に辿り着き、そこで農民として暮らしはじめました。(図柄の左上に見えるのが、小舟と辿り着いた島です)

怒り狂った官吏は、侍女たちを捕まえて投獄しました。そして二人の捜索を部下に命じました。

二人を見つけることができぬまま、数年の時が流れました。そこで官吏は、娘の侍女たちを牢屋から開放しました。何も知らず青年と娘のもとにむかう侍女たちを追跡しました。

とうとう二人は見つかって、捕らえられ、塔の下の迷宮に入れられてしまいます。絶望した二人はお互いの手で命を絶ってしました。

二人を哀れんだ神さまは、二人の姿を鳥に変えました。鳥になった二人は永遠の愛で結ばれました。(図柄の上部でなかよく空を飛ぶ鳥がいますね)

参考資料

今回はこちらのサイト(Willow Pattern)に掲載されていたものをベースに超訳しました。(原文に書かれていないこと、間違った訳が含まれている可能性があります)

ウィローの物語は、いろいろなバリエーションがあるので興味がわいた方はいろいろ読み比べてみるとおもしろいですよ。

もう一つの物語

この物語はこれで終わりではありません。まだ秘密があります。

さきほど紹介した物語ですが、実はあれ創作(作り話)なんです。いかにもありそうなそれっぽい物語になっていますが、中国の物語をもとにウィローパターンが描かれたのではありません。その逆で、先にウィローパターンがあって、販売促進のためにあとから考えられた物語なんだそうです。

当時(1780年ごろ)はシノワズリ(東洋趣味)が流行っていた背景もありますが、この販促用の物語のおかげもあってウィローパターンはとても売れたそうです。

投稿者のコメント

古い図柄にこんな物語が隠されていたなんて!調べて2度ビックリです。ハリウッドで映画化してください。

こういう裏話を知るとなおそのお品物が好きになってしまいます。

(更新日:2019年06月05日)

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