買取日記
BLOGキューピットとプシュケの物語
先日、ウェッジウッドのプシュケを買い取ったのですが、このプシュケはギリシア神話の『キューピットとプシュケの物語』に着想を得て作られたものなんだそうです。今回はその物語をご紹介します。
キューピットとプシュケの物語
Cupid and Psyche (1867) by Alphonse Legros
いろいろなバリエーションがありますが、今回はWikipediaの「プシュケー」の項目を参考にリライトしました。
キューピットとプシュケ
あるところに3人の美しい王女がいました。なかでも末のプシュケは特別で、美の女神ウェヌス(アフロディーテ)にもひけをとらないほどでした。
それを聞いて嫉妬したウェヌスは、息子のエロス(キューピット)に愛の弓矢でプシュケに「卑しい男に恋におちる」呪いをかけるよう命じます。下界に降りたエロスは、プシュケのあまり美しさに驚いて誤って自分を矢で傷つけてしまい、プシュケの虜になってしまいました。
同じころ、プシュケの両親は求婚者があらわれないことを心配しアポロンの神々をたよりますが、「娘を山に住む怪物と結婚させよ」と恐ろしい神託が下されます。神託に従い山に置き去りにされたプシュケは、西風の神ゼピュロスによって豪華な神殿に運ばれました。見えない声が、この神殿の中のものは全てプシュケのものだが、夜になると現われる夫の姿を絶対に見てはいけないと告げました。
声に従ったプシュケは不自由のない生活を送っていましたが、家族が恋しくなり姉たちを神殿に連れてきてもらいます。プシュケの豪華な暮らしぶりに嫉妬した姉たちは、夫が姿を見せないのは恐ろしい怪物で、おまえを太らせて食べてしまうつもりだから、その前に殺すべきだとけしかけました。
夫との約束をやぶり、寝ている夫を蝋燭の明かりで照らしたプシュケが見たのは、美しい神の姿でした。びっくりしたプシュケは蝋燭のロウを夫に落としてしまいます。火傷をおった夫(エロス)は妻の背信に怒りどこかへ飛び去ってしまいました。
姉にだまされたことに気付いたプシュケは姉たちのもとにいき、エロスは次は姉たちと結婚するつもりだと告げます。喜んだ姉はゼピュロスに宮殿に運んでもらおうと崖から飛び降りましたが、ゼピュロスは現われず墜落して死んでしまいました。
ウェヌスの試練
息子の醜聞に激怒したウェヌスは、プシュケを捕らえようとしますが、なかなかうまくいきませんでした。しかしやがて、逃げ場を失ったプシュケは観念してウェヌスのもとに出頭します。エロスを返してほしいと願うプシュケに、さまざまな無理難題の試練を与えますが、不思議な力がプシュケに味方してなんとか難題を乗り越えていきました。
業を煮やしたウェヌスは最後の難題として、冥府の女王から美をわけてもらってくるよう命じます。プシュケはなんとか美をわけてもらうことができましたが、つい誘惑に負けて美を入れた箱を開けてしまいました。中から冥府の眠り溢れだし、プシュケは永遠の眠りに落ちてしまいます。
昏睡しているプシュケを見つけたエロスは、冥府の眠りを取り除くとゼウスを訪ね2人が一緒になれるよう懇願します。ゼウスはプシュケに不老不死の酒を与え、神々の仲間入りすることを認めました。
その後、ウェヌスの許しを得た2人はあらためて夫婦となります。そして、2人のあいだにウォルプタス(喜び)という名の娘が生れます。
今日の一皿:ウェッジウッドのプシュケ
リボンのような継ぎ目のない模様”Love Knot (愛の絆)”は、試練を乗り越え結ばれた2人の強い絆を表しているそうです。白磁とエメラルドグリーンの組合せがエレガントな一品ですね。
ちなみに、「プシュケー」は古代ギリシア語で心、魂、蝶を意味するそうで、プシュケを描いた絵画では蝶のモチーフが取り入れられていたりするそうです。
シリーズやモデルの由来を知ると、より一層そのお品物の魅力が増します!